以前、Hebbの運動則2つを解説する記事を書いた。今回はそれを踏まえ、理学療法士の介入とし何をするかに主眼を置いて書いていきたい。
おさらいがてら、Hebb則は二つある。「運動意図と運動タイミングの一致で神経路が強化される」、「脳は行ったことしか学習しない」。
これを踏まえ以前書いた記事をより臨床的に書くと、脳卒中片麻痺からの回復には「患者様本人の課題の理解・参加」「介助してでも修正したい動作方法を確実に行ってもらえる環境作り」の二点が介入において大切である。
ここで、一つ思い起こしてほしいことは自動介助運動というもの。患者様が自動で
遠位から抵抗、近位から動かしたい方向へ介助をし、自動介助運動を行っていると錯覚させる。これにより、動かなかった手足が介入中は動いている気にさせる。患者様のモチベーションを上げ、4、5分反復する。
コツは介助5.5対抵抗4.5くらい僅差で介助を勝たせる。
あまり介助が強いと患者様も他人に動かされているだけだと感じてしまう。これでは患者様は介助に依存してしまい運動意図を引き起こせない。
逆に抵抗が強すぎると動きが出ないのでぎりぎりで自力で勝っているくらいの塩梅を目指す。
考えてみてほしい。ジムなどで筋トレをするときに、あまり負荷が軽いとやっている感じが出ず、あまり大変だと続けようと思えない。「やってる感」がでるいい塩梅というものがあるはずだ。
健常者では○○kgなど目に見える重さだが、片麻痺者など、力が出るか出ないかの境目の方では介助+自力>抵抗となる程度の負荷で良いというわけだ。この介助+自力>抵抗となる程度の負荷の運動を繰り返し、運動の発現を「促し」、神経路を「通す」、「促通」という手技をぜひ使っていってほしい。
ここからさらに自力の運動を促しやすいよう電気刺激や反射を用いて行っているのが「川平法」をはじめとする促通主義である。
しかし、難しい手技に入らずとも、筋トレの要領で介助すれば簡単にできるため私はそこまでマニアックな分野に分け入っていく必要はないのではないかと思っている。
キッキングでも、上肢の総合伸展、手指の開閉、中殿筋、大殿筋など多くの部位に使用できる。今後の加筆でイラストもしくは写真などを載せイメージがわきやすいようにしていきたい。
ともあれ、本日はこの促通について、筋トレ、ストレッチ以外の引き出しとして共有できれば幸いである。