ぐんまのぴっち

8年目理学療法士。3年目まで回復期、4年目以降ずっと総合病院急性期勤務。

理学療法

デスクサイクル

エアロバイク、と一般的に呼ばれる自転車ペダリング運動はダイエットの定番だろう。 しかし、自宅で行おうにも小さい子供がいると危ないし、家の面積を大きくとるし、購入しても洗濯物を干す置き物になったり、人のあげてしまったり、という結末を辿ることが…

脳卒中重度片麻痺への長下肢装具療法 その3 いかにロックを外すか

前回の記事で、膝をロックして、膝折れ防止をしたまま介助で患者さんに歩いていただく際のコツを書いた。 今回は、そこから如何にご自身で歩いていただけるようになってもらうか、ということにつなげる記事を書いていきたい。 平たく言うと、自分で足が降り…

脳卒中重度片麻痺への長下肢装具療法 その2 実際の介助歩行のポイント

長下肢装具を用いた歩行介助。 麻痺が重く、ご自分では足を上げることも、膝で体重を支えることも、足首で地面を蹴ったり、引っかからないよう足首を上げたりすることも難しい患者さんを、介助し歩行練習していく方法について。 実際に行う場合の私なりの注…

大腿骨近位部骨折術後の急性期理学療法について~6〜 患側への荷重方法、歩行介助

長かったこの記事も、とうとう患側を使ってどう歩行を獲得していただくか、どう指導するか、いう話に入る。 大腿骨近位部骨折手術後の患者さんが歩けない理由は、おおむね患側に体重をかけられないことだろう。 中には前面の滑走障害から振り出しに痛みのあ…

脳卒中重度片麻痺への長下肢装具療法 その1 介助歩行の理論的背景

脳卒中重度片麻痺患者様への、長下肢装具をもちいた歩行介助というものがある。 これは、どんなに麻痺で力が入らなくても、歩行練習を遂行できるというめちゃくちゃ強力なものだ。 適応としては、pusherがない、心臓を始めとする全身状態が落ち着いている、…

大腿骨近位部骨折術後の急性期理学療法について~5~ 表層の屈曲制限への対処

今回は、患側股関節可動域制限についての最後になる。これは最も分かりやすい制限だと思われる。手術で切った傷自体が痛いから動かない、というもの。 奥の筋肉に関しては組織の修復を待ちつつ他のリハビリを行うが、表面の皮膚や、皮膚の下(皮下)の筋膜自…

大腿骨近位部骨折術後の急性期理学療法について~4~ 筋間の滑走障害・インピンジによる鼠径部痛

今回も、前回同様、患側機能の向上の話。 痛みや筋出力低下で、可動域の低下を来して姿勢変換が困難となることについて。 よくある屈曲の可動域制限の改善方法についての話の続きである。 今回は、骨頭周辺の筋肉の癒着や挟み込みの問題について。 これは、…

大腿骨近位部骨折術後の急性期理学療法について 〜3〜 骨の動きから見た屈曲制限

ここからは、患側機能の向上の話に移る。 患側股関節の機能低下で主な問題となるのは、以下の2点だろう。 1点目は、痛みや筋出力低下で、可動域の低下を来して姿勢変換が困難となること。 2点目は同様の理由で、立位をはじめとした荷重困難、支持性が低下し…

大腿骨近位部骨折術後の急性期理学療法 〜2〜 健側機能の向上から図る早期ADL改善

前回の大腿骨近位部骨折のテーマで、手術自体と手術後の注意点を述べた。ここからは術後のリハビリについて書いていく。 術後のリハビリは活動性の確保と、患側機能の向上の2つに分けられる。今回は活動性の確保について述べていく。 術後の廃用を防ぐための…

大腿骨近位部骨折術後の急性期理学療法 〜1〜 病態、手術について

理学療法士が実習や新卒でオーソドックスな疾患として担当することの多い大腿骨近位部骨折の手術後の患者さん。 養成校では解剖や運動学などを学び、疾患については整形外科、神経内科など科毎に総論を学ぶのみで各論は実習地の教育や自己研鑽に任せられてい…

松葉杖指導

完全免荷の松葉杖を練習しようとしても、転倒リスク高く、どのように指導すればいいかわからない、という声を後輩から聞いた。思い返せば自分も最初は基本的な使い方以外の指導方法が分からず苦労したのを思い出した。 あまり下手な方は平行棒でまず練習して…

理学療法士の目標設定、plan立案について~2~

前回の最終目標の設定から、今回は具体的短期・長期目標をどのように決めるかまで踏み込んで書いていきたい 最終目標に関しては「その方の周囲とのかかわりをなるべく病前に近づける」という観点で決めていく。そのためには病前にどのような生活をし、どのよ…

腹内側神経路と背外側神経路

名前からしてイミフで苦手だったが、神経路がわかった上で調べてみればなんてことない。 脊髄の内側から脳に向かう道と、外側から脳に向かう道のこと。 内側は網様体脊髄路などに代表される頭部-体幹-股関節近位といった姿勢コントロールを行う路。 外側は皮…

診断名と障害、問題点の乖離について

医師の処方により理学療法士はリハビリを行う。 しかし、診断名にある疾患というものに対して定型的なリハビリを行う理学療法士が治せる療法士かというとそうではないことが多いのではないかと思われる。 例えば、変形性膝関節症という診断があったとして、…

理学療法士の目標設定、plan立案について~1~

新人時代、自分の患者さんの介入をどのように決めるか、先輩がどんなふうに決めているかよくわからなかった。 恥ずかしい話、はじめの頃は、その方の疾患の介入が書かれている文献や先輩の代診を参考にその方にできるもので単位を取っていた。 一年目の8月頃…

Hebbの運動則を踏まえ、促通という介入手技を考える

以前、Hebbの運動則2つを解説する記事を書いた。今回はそれを踏まえ、理学療法士の介入とし何をするかに主眼を置いて書いていきたい。 おさらいがてら、Hebb則は二つある。「運動意図と運動タイミングの一致で神経路が強化される」、「脳は行ったことしか学…

脳卒中 書きたいことリスト

これから時間があるとき少しずつまとめていきたい。まとめられたらこのページは目次となるだろう。 ・脳卒中理学療法の歴史的変遷から今の私の考え ・脳卒中理学療法基礎 hebb則 ・システム理論、hebb則を踏まえた長下肢装具療法:無杖歩行、cpgについて ・…

Hebbの運動則について(2)

以前、Hebbの運動則についての記事を書いた。これはその続きになる。 おさらいがてら、Hebbの運動則は二つあり、「運動意図と運動タイミングの一致の経験の反復が神経路の強化には有効」というものと「脳(神経)は行ったことしか学習しない」というもの。 …

Hebbの運動則について(1)

理学療法士が学校で習わないけど大事な概念にHebbの運動則がある。 脳卒中の片麻痺や運動学習の根底をなす概念だから学生や新人のうちに絶対知っておいた方がいいと思うが解説しているコンテンツがあまりにも少ない。今日はこれは紹介しておこうと思う。 Heb…

雑記:理学療法士の必修科目について

あくまで私の母校だけかもしれないが、病態や手技、その理論を結びつけて学ぶ科目があまりにも少ない気がする。実習指導や新人指導しててそこを説明するだけでスッとみんな伸びていくことを考えるとどうにかしたい問題だ。 徐々にまとめて、来年度中には口伝…