理学療法士が学校で習わないけど大事な概念にHebbの運動則がある。
脳卒中の片麻痺や運動学習の根底をなす概念だから学生や新人のうちに絶対知っておいた方がいいと思うが解説しているコンテンツがあまりにも少ない。今日はこれは紹介しておこうと思う。
Hebbの運動則には二つあり、一つは「運動意図と運動タイミングが一致した経験を反復すると神経的にその運動が強化される」というもの。もう一つは「神経はやったことしか学習しない」というもの。
字面で見て感じるよりはるかに大事なことを言っていると思う。例えるなら「筋トレをすると筋肉が大きくなる」という概念と同じくらい基本的で、大切。
今日は一つ目のものについての記事にしたい。
例えば片麻痺で全く足が動かない方に対して、長下肢装具を使って歩行をした場合、患者さん本人は歩こうとして足を前に出したタイミングで介助にて実際に足が出るという体験が歩数分だけ反復される。
これは、運動意図と運動タイミングの一致という体験を反復できている。
この繰り返しで足を前に出す骨盤や股関節周辺の随意運動の神経路が強化される。
そのため徐々に随意的に足が出せるようになる。こうした具合に麻痺の改善のメカニズムが説明できる(実際はそれだけではないが。。。)。
歩行では患者さんの運動意図を引き起こしやすい。
しかし、他の課題でも患者さんにもこの理論を説明し、ご理解いただければ上肢や下肢の選択的な運動の反復だけでも麻痺の改善を得ることができる。
こちらも運動意図-運動タイミングを介助下でも一致させ続ければだが。
ただし、動かないものを延々続けて患者さん、セラピスト双方がモチベーションを保ちつづけられるかという問題は残る。
これを知らずにストレッチや筋トレしか頭にないと脳卒中の方に新たな運動を発現させる方向でリハビリをするという選択肢が生まれない。
是非とも最初にこのことを共有しておきたい。