ぐんまのぴっち

8年目理学療法士。3年目まで回復期、4年目以降ずっと総合病院急性期勤務。

目標設定について

リハビリの目標設定について、具体的に方法論を学ぶ、と言うことは少ない。

ケースにより、容易に目標が立つ方もいれば、目標からどうやって立てるか難渋する方、予後予測通りにはいかず設定した目標から大きく逸れる方、様々であり目標設定の方法論、という羅針盤の必要性を感じる。

そもそも、目標には、何種類かあるが、人生観的な、「基本的目標」と、疾患や性格に起因する「機能的目標」の2種類は認識しておくべきだろう。

 

基本的目標、とは、その人の人生において、いかに幸せに、QOLを高く生活できるか、というところに主眼を置いた目標だ。

対して、機能的目標とは、筋力やバランスをこのくらいまで上げて、このくらい歩ける様になる、といった身体機能の目標だ。

身体機能の目標は、予後予測と逸れたり、そもそも予後不良な場合に本人の希望と、身体機能の現実的目標が大きくズレてしまうことがある。

このズレを埋めるために必要なのが、基本的目標の設定能力だ。

 

基本的目標について話をする前に、そもそも、人は今日よりも明日の方が、未来の方が幸せになれる、と、どこかで思いながら生きていることから認識すべきだろう。

実際、生活していても変わらない日常だったり、嫌なことを言われたり、病気になったり、配偶者と死別したり、と、中々その通りにいかないことも多いが、どこかでなんとかなると思って生きている。

かくいう私も先程散々ズボンのポケットが空なことを確認してから洗濯しよう、と硬く誓っていたのに、ワイヤレスイヤホンを洗濯してしまい、かなり落ち込んだが、まあいっか、と気分を切り替えてこの記事を書いている。

実際、前にも洗濯しちゃったときにも無事だったし、最近はAmazonタイムセールなどで安くなっていることも多いし、有線のイヤホンもあるし、最悪イヤホンはなくてもそこまで困るものでもないし、という自分の幸せにおいて大きな脅威となる出来事でない、と予想もついている、ということである。

なので、この、まあいっか、というのも、そのうちなんとかなるだろう、という考えが根底にある。

 

よく言われるQOLともほぼ同義だが、QOLの高い人の方が生命予後が良いとするデータは根本にはこの考えがあると思われる。物質的に恵まれていても、うつ病などで幸せを感じるホルモンが減少した場合に有意に生命予後が低下することも、この、未来への希望の大切さを示していると考えれないだろうか。

これは人に限らず、例えば飼い犬なら大好きな飼い主と明日も穏やかに暮らせる、と思いながら次の日を迎えたり、野良猫なら明日こそお腹いっぱいご飯を食べたい、と思いながら次の日を迎えたりし、生き物は未来に対しなんとなく希望を持って生きているのではないかと思う。

 

人間の場合、複雑なことを考えられるだけに、病気になったりした場合に、機能からの想像で未来を悲観したり、日光を浴びたり運動が減るなどの物理的ストレスで幸せを感じにくくなったりと、わかりやすくQOLという形で生活を評価した場合に生命予後が見えやすくなるのではないか。

リハビリで患者さんとともに機能改善を図っていく場合も、機能だけでなく、どうすればこの患者さんや、そのご家族が未来に対し大きく不安を持たずに安定した生活を送れるだろうか、ということを考えて関わる必要がある。

未来に対する希望、QOLといっても、目標設定において、将来の夢、とか、趣味や仕事の再開、といった高い活動レベルである必要は必ずしもなく、いかに穏やかな気持ちで、本人や周囲が暮らせるか、といったところに主眼を置くと現実的だろう。

また、高齢で意識がほぼ無い方、認知機能の改善が見込めない方、疾患的に先は進行しか無い方などへも適応しやすい。

意識がほぼ無い方、の例で言えば、意識がない中でも褥瘡があって痛がっていたり、吸引が頻回に必要で苦しがっていたり、NーGチューブを無意識に引き抜くほどチューブを不快に感じていたり、といった、先の人生において幸せ度を下げる項目をいかに減らすか、と言うことを目標にする、という設定方法がこれに当てはまる。

この目標の達成を考えると、NSと協力してポジショニングや寝返り機能の再建であったり、STと協力して頚部、胸郭の柔軟性を向上させ、痰を貯溜させにくい機能の獲得を目指したり、といった評価、介入が必要だ、という様に具体的なやることが浮かんでくる。

 

また、認知機能が低下して徘徊してしまう患者さんを例にすると、徘徊して何が問題か、と言えばやはり転倒し受傷するリスク、さらに、周囲のスタッフが捜索し、本人にやめてくれと言い、本人と周囲の間で精神的ストレスを抱えるリスク、病院であれば、徘徊に対しスタッフの人員配置的問題もあり抑制を使用せざるを得なく、抑制帯により患者本人の幸せ度が下がる、などがある。

これに対しては、トイレに行きたいタイミングで徘徊する、朝一番で徘徊する、など徘徊の条件がわかっていれば、ある程度戻ってこられるルートを貼り紙や行ってほしく無い方向は扉を閉じておく、などの工夫であったり、転倒リスク軽減のためバランス練習や、掴まれるものを徘徊ルートに多く置いておく、などの環境設定が必要だ。

転倒リスク軽減のための機能練習のほか、病棟とも情報を共有しつつ徘徊からの問題行動、幸せ度を下げる因子を減らすための評価、介入が必要となる。

 

さらに、予後予測的に、歩行獲得に至らない可能性が高いが、歩行を本人家族が希望する場合、というのも多くある例だろう。

この場合、歩行獲得に足りない要因に対しアプローチする必要はあるが、それ以上に、歩行が獲得できなくても穏やかに暮らせる様な生活様式も想定した関わりも同時進行で進めておく、という対処が有用だ。

大腿骨頚部骨折の記事でも書いたが、患側機能の改善を図りつつも、健側と車椅子で病院内程度は自立して移動ができるようにしておくと、すぐには歩けなくても、しばらくは自分は車椅子で自由に動けるから大丈夫、となることがある。もちろん、そのまま自宅で車椅子、となると家屋の回収はとても大変だが、屋内は伝い歩き、外は車椅子、外も歩けるように退院後も訪問リハビリなどで歩行練習を続ける、などの生活を送れれば、本人家族も骨折前と大きく幸せ度が下がらず生活を続けられる。

 

進行性疾患に関しても、先々の進行はあるが、なるべく長く、穏やかに暮らすためにはその方、周囲は何が必要か、を進行前から確認し、それを続けられるようにする介入を早くから打って、進行しても一気に不幸のどん底に叩き落とされないように関わっていく、といった目標設定ができると良いだろう。

中々全てのケースでうまくいくわけではないし、特に進行性疾患の方なんかは難しいが、少なくともこうした基本的目標、と言うものを意識してから機能的目標を立てるか、そうでないか、には大きな違いがあるだろう。

デスクサイクル

エアロバイク、と一般的に呼ばれる自転車ペダリング運動はダイエットの定番だろう。

 

しかし、自宅で行おうにも小さい子供がいると危ないし、家の面積を大きくとるし、購入しても洗濯物を干す置き物になったり、人のあげてしまったり、という結末を辿ることが多いことを患者さんからよく聞く。

かく言う私も、3年ほど前に後輩にエアロバイクを譲ってしまった。現在ではその後輩の家でも邪魔にされている様である。すまん。

 

しかし、育児中などダイエットのため集中してジムなどにいけない、育児にかこつけてのダイエットもわからない、という人のために、やはりエアロバイクが改めて良いと思えることがあった。

 

エアロバイクといっても、自転車全てのパーツがあるわけではなく、ペダル部分だけがあるデスクサイクルと呼ばれる代物だ。

 

Amazonなどで4000円〜10000円程度で売っており、手でも足でも回せるものと、がっしりしていて足で回すのを主に想定しているものとがある。

私の職場にもこれが3台ほどある。

リハビリ室に出てこられない患者さんのお部屋に持っていったり、エアロバイクに座っていられない患者さんに車椅子のままペダリング運動をしてもらったりと、値段以上に大変重宝している。

麻痺の方にはペダリングや、手足の固定を介助して促通にも使えて、用途が多岐にわたる。

入院リハビリはもちろん、デイや訪問にも役立つと思うので是非皆さんの職場にも導入をご検討されてみてはどうだろう。

必要経費も自転車よりずっと安く、持ち運びも楽なのでオススメだ。

 

我が家にも一台導入し、妻と2人夫婦でダイエットに役立てている。

これ、エアロバイクよりもずっと小さいため、使わないときはリビングテーブルの下に入れておき、使うときはソファーやダイニングテーブルの下などに入れてテレビを見ながら回せている。

 

私は飽き性なので、10分と続かないことも多いが、リビングテーブルの下でチラッと見えるのでたまにはやろうかなという気になれる。おそらく、しまいこんでしまうと、出す手間がよぎりあまらやらないだろう。

 

リハビリに限らずデスクワークの方の事務所や、私生活のダイエットや運動量確保にいかがだろうか。

 

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脳卒中重度片麻痺への長下肢装具療法 その3 いかにロックを外すか

前回の記事で、膝をロックして、膝折れ防止をしたまま介助で患者さんに歩いていただく際のコツを書いた。

今回は、そこから如何にご自身で歩いていただけるようになってもらうか、ということにつなげる記事を書いていきたい。

 

平たく言うと、自分で足が降り出せて、膝のコントロールができて、転ばない、というところにつなげていくという話だ。

 

そのためには、杖につかまって倒れずに歩けるようになることが目標となる。

膝をロックした歩行では、膝のコントロール自体も学習できず、さらに、膝のコントロールに伴うバランス戦略が欠如しやすい。

また、足首が引っ掛かったり、蹴り出しが不足していたり、という問題が出てくることも多い。

今回は特に、膝のコントロールについての対処を書いていきたい。

 

やはり最初に書いていくのはいつ、膝のロックを外して歩き出すのか、ということだろう。

このイメージがないと、延々と膝をロックしたままの歩行練習を続けてしまったり、逆に、ある時いきなり膝ロックを外して歩かせ始めてしまって、膝の代償がバリバリに出た歩行を獲得させてしまい、何のためにこれまで装具歩行をやっていたかわからないような結末に終わるパターンをしばしば目にする。

 

文献的にも「いつから」ロックを外す、ということは明確に書いていないが、脳卒中理学療法理論と技術には膝ロックの解除とカットダウンについて書かれたページが1ページだけ存在する。

 

”適宜、膝継ぎ手のロックをはずしたり、短下肢装具にカットダウンする必要がある。麻痺側膝で多少でも筋活動を得ることができれば、ロックを外した立位で支持性を確認する。膝をロックした歩行で筋活動を賦活した後、できれば数歩でもロックを外して歩いて、麻痺側の支持状況を確認する。最初の数歩は膝を伸展保持することができなくても、繰り返すことでかろうじてできるようになることがある。”(p338)

 

つまり、ロックをしたままの歩行しかしない、ということは自身の膝での体重支持を経験する機会を与えないことを意味する。

このため、練習レベルでは、患者さんがロックした歩行に多少なりとも参加できる様になったら、早期から行うべきだと言えるのではないか。

早期とは言っても、体幹の支持も、下肢の両側ともの振り出しも全介助の状態から膝ロックを外す、というのは課題でクリアすべきものが多すぎるため、難易度が高すぎると言えるだろう。

体幹の支持、もしくは麻痺側下肢の振り出しの介助量軽減(非麻痺側重心の巧緻性向上)のどちらかがある程度得られていないと、膝の課題にとりかかるのは早計だ。

一つの課題でメインターゲットとなる目標は一つがよく、多くても二つまでが限度だろう。また、二つの目標を同時に進める場合でも、主目的と、副次的な目標と優先順位を分けておいたほうが良い。

体幹のある程度の伸展位保持や、麻痺側の振り出しこそ最初のメインターゲットとし、多少進んできたら膝の課題も取り入れていく。そして、体幹の支持や麻痺側の振り出しが当たり前にできるころには、それまで取り組んでいた膝の課題に専念できる、というわけだ。こうすれば、急に膝のロックを外すわけでない。

具体的には、介助でリズムよく歩く練習がコンスタントにできていたり、手すりにつかまってバランスとりつつ振り出す練習が行える、くらいになってきたらロックを外す経験を始めるのが良いと私は考えている。

 

さて、膝のロックを外すタイミングの話を書き連ねてきたが、ここからはどうやって膝のロックを外すか、ということに論点を移したい。

ここからは、①ロックをした状態での歩行を妨げない程度の体幹の伸展位保持、②麻痺側の振り出しが可能な程度の非麻痺側重心での動的バランスの獲得、③麻痺側股関節近位筋の賦活による振り出しの獲得がある程度進んだ状態を想定する。

この①~③が足りない状態でロックを外す場合は膝は体験程度にとどめ、あくまで①~③の獲得を主目的としたほうがよい。

 

さて、ロックを外すと何が問題となるか。大きく分けて二つある。

一つ目は想像しやすいであろう。立脚中期の支持性の不足からくる膝折れや反張膝(バックニ―)の出現による歩容の乱れだ。

これがでてしまうとそれ自体が転倒や膝関節を痛めることにつながるのはもちろん、ロックをして歩いて賦活したCPGやバランス戦略なんかがほぼほぼ使えなくなってしまうので、これの克服がとても大切だ。

 

もう一つは、踵接地の際の膝伸展が破綻してしまうことだ。これは、歩行のための前方推進力の不足につながり、結局立脚中期以降を破綻させうる歩容異常につながる。

 

順を追って対策を記していこうと思う。

まず、立脚中期の膝折れと反張膝だ。これまで荷重してこなかった膝に急に体重が載るため、最初は折れ曲がってしまうのは当然だ。これをどうするかというと、やはりHebb則を念頭に置くべきだろう。

 

「代償を修正した動作を介助ででも行えた経験を繰り返すとその動作を獲得する」。

 

膝折れを介助ででも防ぎながら、体重を膝に乗せつつ、股・膝を伸展させ立脚初期-中期-終期、までを反復する。

膝・股・体幹すべてを介助しつつ、ステップ練習をするのだ。

 

つまり、前方でセラピストが自身の膝で患者さんの膝を膝折れしないように抑えつつ、セラピストの手を使って股関節と胸郭をそれぞれ前進させていく。

股関節の伸展が足りないと、体幹を前傾させて股関節を後ろに残したまま次の一歩に移り出してしまう。これが反張膝のメカニズムの一つだ。

胸郭レベルでの前進も引き出しておかないと、結局立脚終期で重心が後方に残り、次の非麻痺側の立脚が破綻し、さらに次の麻痺側の振り出しが困難となる。

 

また、ステップで前進してもらったあと、次のステップ練習に移るための後ろに戻ってもらう際の代償も気にしたほうがいいだろう。

戻るときは転倒しなければいい、というわけではなく、逆再生のステップ練習として利用でき、目的とする筋の遠心性収縮の練習もできるわけで、前進の完全な逆再生をする様に、膝・股・体幹を介助して戻すことを推奨する。

 

患者さんが慣れるまでは目線は下でもいいが、慣れてきたら目線は上げたほうが良い。

 

また、慣れてきたら介助の量を減らして破綻を経験してもらい、ご本人の運動意図をしっかりもたせる、という機会もちょこちょこ入れたほうがよいだろう。

そうしないとセラピストの介助に依存する。

 

膝・股・体幹それぞれで代償が出やすいため、膝の介助を外す回、股の介助を外す回、体幹の介助を外す回、と、それぞれ機会を与えて、都度、患者さんの弱点はどこなのかを探ったり、一つの機能を重点的に克服させたりと、工夫すべきであろう。

 

例えば膝の介助を外して、膝俺をしてしまった場合、次の回ではまた介助をし、「このタイミングで伸ばす!」と声をかけ、また次の回で介助を緩める、といったように失敗⇒成功⇒挑戦、というように各課題の克服を目指すべきだろう。

 

膝の伸展はタイミングも大切で、膝の伸展が早すぎると、股関節の伸展がおこらずバックニーが起こる。逆に、遅すぎると、膝折れしてしまう。

正常膝の立脚の動きとして、立脚初期では一度ごく軽度屈曲してから伸展に転じる、といダブルニーアクションと呼ばれる機構がある。この、ごく軽度の屈曲、を起こさずに伸展してしまうと反張膝になってしまう。

意識としては、私は、体表で見た感じ、鼠径部が踵を超えるタイミングまでは屈曲を許容し、そこから伸展に転じさせるよう介助・指導を行っている。

 

また、前方からのステップ練習以外にも、長下肢装具の大腿半月や、太ももに巻いたタオルなどを後方から持って、立脚中期で重心を装具を腕力で持ち上げて膝の介助をすることもある。これは介助者の手がとても疲れるがそのまま歩行練習ができるというメリットがある。

ステップがうまくいくようになったら、膝ロックを外した歩行の全体練習を行う必要がある。その際の介助方法としても使える。

 

こうしてロックを外して立脚中期で膝伸展して重心を上昇させつつ支持するわけだが、最初はやはり麻痺側下肢というものどうしても出力が不足する。

それは麻痺により出力も低下しているし、それまでの廃用もある。

と、いうわけでいきなり独歩で全体重をかけるのではなく、手すりや杖を支持して体重を肩代わりしながら歩行のリズムを破綻させないことを優先すべきだろう。

 

次に、遊脚終期~立脚初期にかけて、踵接地では膝伸展している必要があるが、ここも練習しないと屈曲してしまうことが多い。

歩行練習やステップ練習どちらでもいいが、振り出しのステップを後方からセラピストの下肢で患者さんの足部を前方に軽く押して膝を伸展させておく練習を繰り返すといいだろう。これも、介助の量を増減させつつご自身でできるようにしていく。

これは、長下肢装具での歩行をしていない患者さんなどでも立脚初期から膝屈曲してしまっていて後方重心を呈する患者さんの歩容修正にも使える。

また、立脚初期は股関節外旋の代償が起こらないようにも気を付けたい。これは、なかなか難しいが、装具の足部の部分に弾性包帯などを結び、ぐるぐる巻きつけて、骨盤のところで股関節内旋方向にテンションが働くよう工夫すると対処が容易となる。

 

これらを進めて、杖と短下肢装具で非麻痺側の重心をおきつつの歩行をスムーズにできるのをここでの目標としていく。

非麻痺側に重心をおきつつの歩行と並行して、段差昇降やマシントレーニングなどで踏み込みの筋力の増強を図っていきつつ、徐々に出力向上に合わせて重心を麻痺側に移していくようにしていく。

この時の筋力向上の道具としてとてもお勧めなのが、市販のステッパーだ。ナイスデイ社のものなどを平行棒の中に入れて、支持ありで、かつ、踏み込みを介助しながら踏み込ませる経験を反復できる。もちろん、ステッパーでの踏み込みでも体幹、股関節の代償は許容しないほうがよい。

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また、短下肢装具からの脱却、という課題も残るわけだが、それについては文献も多くありそちらにとりあえず譲りたい。気が向けば次回の記事で書いていこうと思うが、短下肢装具からの脱却は個別の事例による差異が多く一般論的に語りにくい。おそらく次回は簡単にgait solutionデザインの短下肢装具の使い方について記載するにとどめる。

しかし、このgait solutionデザインの短下肢装具についても、とても便利な代物だが理屈を理解しないとその利点を活かせないため、ぜひ次回も読んでいただきたい。

脳卒中重度片麻痺への長下肢装具療法 その2 実際の介助歩行のポイント

長下肢装具を用いた歩行介助。

 

麻痺が重く、ご自分では足を上げることも、膝で体重を支えることも、足首で地面を蹴ったり、引っかからないよう足首を上げたりすることも難しい患者さんを、介助し歩行練習していく方法について。

 

実際に行う場合の私なりの注意点の前に、第3版脳卒中理学療法理論と技術においてどのように書いてあるかを軽く紹介したい。

 

"歩行練習は2動作前型そしてある程度のスピードをもって行うことが重要である。(p314)

 

病期を問わず、長下肢装具を用いた歩行練習では、一定の速さをもつリズミカルな下肢の振り出しを妨害しないこと、視野を遮らないことなどを目的に、原則的に後方介助で行う。(p336)

 

脳卒中患者では股関節周囲筋の低緊張により振り出しが股関節外旋や内転に、しかもバラバラになることが多い。

〜略〜

特に、麻痺側下肢が立脚期に入る踵接地が不安定であると、COPは滑らかに前方に移動せずに、ロッカー機能の連鎖は破綻してしまう。

大腿カフ部分にループを取り付け、麻痺側振り出しを制御するように理学療法士が操作することで、これらの問題を解決する。

〜略〜

踵接地する場所が適当であるかを確認するために麻痺側足を理学療法士が覗きこもうとすると、理学療法士自身の同側骨盤を後方に引いてしまうことが多い。その動きは患者の骨盤に同様の回旋を引き起こし、その結果、外旋歩行を呈することになる。

この外旋歩行を防ぐために、理学療法士は正面に置いた鏡を見て振り出し状況をみながら介助による歩行練習を行う。前額面ではその他に、

・麻痺側を外転して振り出そうとしていないか

・非麻痺側を外転して振り出そうとしていないか

理学療法士が体重を麻痺側にかけたいがために、過剰に麻痺側にshiftしていないか

・左右同じような前型の振り出しになっているか

・麻痺側体幹が十分伸展しているか

・患者の表情はどうか

などを観察し、適宜修正を加える。矢状面のアライメントも過度に後方にもたれていたり、前のめりになっていないかなど、鏡や他者を通してチェックする機会をつくる。(p337)"

となっている。

 

これらをまとめると、

・後方介助でリズミカルに行う

・振り出しが外転、外旋、内転に偏らず、踵接地が一定とするよう介助する

・麻痺側に過剰に荷重させないように気をつける

体幹を伸展させ、過度にもたれたり、前のめりとしないよう介助する

・セラピストは覗き込まず、確認は他者や鏡を使用する。

 

これをクリアするためにどうするか。これがやってみると結構難しい。

後方介助で覗き込まないことはまず徹底したほうがいいだろう。

まず、良くあるのが、前進するため前方に突っかかって倒れるのが怖いがために過剰に後ろに引っ張ってしまっている、という状況。

麻痺側は長下肢装具を持って振り出しを介助しているため、必然的に胸に回した非麻痺側体幹を支える手が強すぎる、という問題だ。

怖いのはわかるが、臨床的体感として、患者さんが後ろから引っ張られている、という様に感じるほど引っ張っている時はやりすぎだ。

少し緩めて、私の場合は気持ち前屈み気味にすると丁度いいことが多い。

また、誰かに前方から非麻痺側上肢や肩口を持ってもらって前に倒れない様な環境を作ってしまうと後ろに引き込みすぎない感じが掴みやすい。必然的に2人介助となってしまうが、教科書的にも他者の確認は推奨されているし、点滴がある場合などの介助が困難な場合は2人介助は推奨されている。慣れないうちはそれでも良いのではないか。それで行ううちに自分の場合のちょうど良い加減が掴めて来るのではないかと思う。

 

また、振り出しがバラバラとなってしまう、という問題に関してだが、教科書的にはループを通すことが推奨されているが、ループの弾力や、若干のたるみで、不器用な私にはわずかな内外旋屋、外転をコントロールするのは難しかった。また、ループを大腿カフという装具前面につけ、そこから介助するのだと、振り出しの強さの加減を手で持ち上げてコントロールする形となりこれまた力加減がむずかしい。

結局、少し手は痛いが、私は大腿半月という装具の1番上の金具を後ろから持って、手首のスナップと、押し込みで後ろから直接振り出しを介助している。これだと、後ろからまっすぐ前に押すだけ、かつ、内外旋が起こらないよう橈尺屈を起こさないようホールドするという簡単な動きで振り出しをコントロールできる。加えて、これも大きなポイントだが、立脚中期以降の股関節伸展も手首の付け根で患者さんの臀部を前に押すことでサポートできるという強みがある。

 

そして、ロックした装具歩行において1番大切なポイントは、やはり麻痺側に過剰に荷重させないことだろう。これは、もう介助者の意識としては、非麻痺側を中心とした立位の安定から図っている、くらいのつもりで非麻痺側に乗せておくことが大切かと思う。そもそも、片麻痺から回復していく過程においても、麻痺側下肢随意性が出てきてもその出力は非麻痺側と比べればほぼ全ての例で乏しいのではないか。とすると、最初からこちらの技術で麻痺側、非麻痺側均等に荷重させよう、ということに無理があるのではないか。

介助しているセラピストも、重心を非麻痺側に置き、麻痺側立脚は、足部内側を中心とした荷重で全力で麻痺側へシフトしない様にする。いずれロックを外してご自身で歩いていただくといっても最初は杖などを使うことも多い。ならばその時でも麻痺側の荷重は麻痺側下肢が全体重を受け止めるのではなく、麻痺側下肢と、杖で荷重を分散しているのだ。介助歩行の段階で、介助者の上肢に前額面上で多少もたれていても、リズミカルで、体幹伸展位で、左右の股関節が屈曲-伸展の反復があり、振り出しも一定であればいいのではないか。

また、麻痺側に荷重が乗りすぎていると、単純に振り出しが困難となることが多い。患者さんは麻痺側股関節、体幹の機能も低下しているため、左右への体重移動の際、特に麻痺側から非麻痺側へ体重を移すことが困難なことが多い。この課題は難しいため、難易度を下げる、という意味でも麻痺側には、非麻痺側が振り出しが可能な程度にわずかに乗るだけで、基本は非麻痺側に重心はずっとおいておく、くらいのつもりで介助した方が安定する。

 

そうして非麻痺側での歩行がスムーズになってきたら、手すりなどを非麻痺側で持ってもらい、非麻痺側体幹を介助していた手を徐々に緩めていきご自身と周辺環境のみでバランスを取れるようにしていただく、というようにするとスムーズに介助歩行、から歩行の軽介助、くらいに介助量が下がっていく。また、同時に膝の随意性を高めていく必要があるが、ロックを外す話は次回に持ち越そうと思う。

 

まとめると、

・後方で引き込みすぎないよう介助する

・振り出しは大腿半月直接調整する

・重心は常に非麻痺側に載せておく意識で、セラピストの肘や上腕にもたれさせる、くらいに介助してしまう。

という方法で初期のロックしたままの歩行介助を行っている。

具体的やり方を記載した文献、というものも多くあるが、実際には難しい完璧な歩行を行わせているような誤解を招くものもある。

あくまで、重度麻痺の患者さんのバランスを良くし、自力歩行へ繋げるための一歩、という意識であればそこまで構えずにできるのではないかと思う。

これがスムーズになったら、次もやること山積みであるため、これだけで終わらないことが大切だ。次回もぜひ読んで欲しい

大腿骨近位部骨折術後の急性期理学療法について~6〜 患側への荷重方法、歩行介助

長かったこの記事も、とうとう患側を使ってどう歩行を獲得していただくか、どう指導するか、いう話に入る。

 

大腿骨近位部骨折手術後の患者さんが歩けない理由は、おおむね患側に体重をかけられないことだろう。

中には前面の滑走障害から振り出しに痛みのある例もいるが、それは滑走操作をしつつ、痛いうちは股関節でなく、骨盤から挙上させればとりあえず振り出しはできる例が大半だ。

 

患側股関節に荷重した場合、痛みとともに股関節が屈曲、内転方向に崩れてしまい、健側を床から離せず、一歩目から進めないため歩行が成り立たないことが多い。

この崩れから来る破行への対処について、今回は記載していきたい。

これは、健側に荷重していれば股関節が軽度屈曲していようが、外転していようが、伸展していようがなんともない。

しかし、荷重して不安定になった股関節を筋活動を通じて支えようと思うと、後外側の筋や軟部組織が損傷しており、痛みもあり支えられず崩れてしまう、というわけだ。

 

ということは、後外側の筋や軟部組織の支持性をセラピストが補う様に支えてあげれば、それらは痛みを発さずに立位保持、歩行が可能になるのではないか。

 

臨床的に、前方か、側方か、後方か、どこからでもいいが、セラピストの手掌を開き、患者さんの腸骨稜、大転子、坐骨結節間をホールドして、そのまま前内側に手を押し付けておく。こうすると股関節の崩れを防止できることが多い。

注意点として、骨盤‐大腿骨頭間を安定化させたいがためにこの作業を行っているが、反対側から軽く抑えがないと患者さんの体を押してしまうことになるので反対側の上前腸骨棘付近に固定のため手を回しておいたほうがいいだろう。

要は後外側から骨頭を支える、というのは中殿筋の代わりをセラピストの手掌で行っているというわけだ。これは、市販の股関節サポーターなどでもある程度代用が効く患者さんの痛みに合わせサポートの強さを調整できる、という点が手掌のメリットだが、サポーターはご自身で装着可能、外的デバイスに頼れるため中殿筋のサポートをしたまま他へもアプローチ可能という点がサポーターのメリットだ。

話が逸れてしまったが、こうした方法で痛みが起こらず、崩れていない立位を経験してもらい、このまま少しずつセラピストの介助を緩めていく。もちろん崩れそうになったらすぐに介助を再会する。そうして自力で骨頭を後方から支えられるように、後方支持組織による股関節の安定を学習させていく。

徐々に静的立位だけでなく、健側の踵を上げてみたり、振り向き動作を行ってみたりと患側荷重をしたままさらにその中で重心を動かす、荷重を増やすなどの課題を取り入れ、動的なバランスや、片脚立位など荷重量を増やした状態でのバランスなども取れるようにしていく。

 

この場合の大きな問題として、後外側の支持機構がまだ破綻破綻しているため、骨頭の安定化以外に、骨盤の水平を保てずに結果として股関節が崩れてしまう、ということがある。

後外側支持機構の中心的役割をなす中殿筋は、以前の記事でも書いたが腸骨稜から大転子後方に付着する。つまり、骨盤を下からさらに下に引っ張っている。これがたるんでしまうと、骨盤は、運動学用語でいうところの挙上してしまい、反対側が下に落ち込んだ形となる。

これを制御するために中殿筋のトレーニングが必要となるが、中殿筋のトレーニングと聞いて、側臥位で行う大腿の外転をイメージする方もいるかもしれない。

しかし、これは腸骨稜側から大腿を引っ張るという形での起始→停止方向への収縮だ。もちろん筋腹へ負荷をかけて筋の総量を増加させる、という意味では有用かもしれないが、立位で骨盤を水平に保つという筋の使い方を練習する上ではあまり役に立たないと私は考える。

この場合に行うべきトレーニングは、5cm程度の段差に患側下肢を乗せて、股・膝の伸展に合わせて骨盤までしっかりと下制させていく練習だ。股・膝の伸展に関してはなんなら介助したっていい。大切なのは、患者さんに骨盤をしっかり下制させる感覚を掴ませることだ。

セラピストとしては股も膝も伸展したところで、そこから反対側の骨盤を挙上するよう口頭で指示してそれを手伝う。

反対側の骨盤が挙上したところで、今、患側の骨盤が下がってお尻に力が入っているのがわかりますか?とはっきり聞いてからそこを意識させるように練習する。

 

これを10回程度反復してから次に移る。歩行中に患側骨盤が下制する必要があるのは、立脚最後の蹴り出しまでずっと、だ。

蹴り出し直前ででも骨盤が挙上してしまうともうそのタイミングで跛行が起こる。

そのため、ただ股関節中間位で骨盤下制の練習を行うのみでなく、股関節伸展・蹴り出しに合わせて骨盤下制を行う練習も行うべきだろう。

レーニングとしては、先ほどの段差での伸展練習から派生させればよい。

まず、環境設定として、患側足元には5cm程度の台が入っている。健側足元の前方に5~10cm程度の台を用意する。

先ほどの練習で中間位であれば骨盤下制ができるようになっていることが確認できたら、そのまま患側骨盤を下制させたまま、前の台に健側を乗せてもらう。これだけで患側股関節が伸展しながら骨盤を下制捺せ続けるという練習ができる。

さらに、反復のために足を下ろす際も骨盤下制を維持するようにすれば、遠心性収縮の練習にもなるためオススメだ。

注意点として、股関節伸展すべきタイミングで骨盤が後退し、バックニー気味に健側の股関節屈曲で代償する方がいる。股関節伸展もしっかり意識させる必要がある。難しければ、最初はそこも含めて介助してしまってもいいだろう。

また、膝折れからの転倒など起こしてしまってはもう最悪だ。ピックアップ式の歩行器や平行棒の中か、前方からセラピストが膝などでしっかりと膝折れを予防した環境で行うことを推奨する。

 

このステップを介助なしでできるようになれば、今度は段差をなくした状態でできるか確認し、歩行へ繋げていく。

段差を置いたのは課題を患者さんにとって分かりやすくする、という意味で難易度を下げている。

平地をステップする方が段差をステップするより楽と考えるかもしれないが、平地のステップというのは動作方略が数多くあり、どこに意識すればいいかわかりにくい。

先に段差を使ってわかりやすい課題で練習してから平地の練習をするほうが体感的には患者さんの理解を得やすい。

 

まずは平行棒、歩行器で歩行していただき、同時にこの練習を片手支持、手放しと進めていき、杖や独歩を獲得していく、という寸法だ。

 

もちろんほかにもバランス不良や痛みが出ることもあるだろう。

その辺の課題はFBSやTUGなどの検査バッテリーを使い、適宜評価して潰していく必要がある。かただ、このトレンデレンブルグと伸展不足以外の課題、というのは、大方膝や腰部などの隣接関節の問題が多いのではないかと思う。

ここらへんの課題への対処をしつつ、しゃがみ込みなどを獲得できればもうすっかりご自宅でも生活できるように思う。

しゃがみ込みに関しては、前までの屈曲可動域に加え、しゃがんだ状態での下肢筋出力向上が必要なため、課題得意的な練習が必要だろう。

 

今回のテーマに関しては、このくらいで筆を置こうと思う。長いこのテーマを読んでいただき、感謝の念は尽きない。

是非他の記事も読んでみてほしい。

脳卒中重度片麻痺への長下肢装具療法 その1 介助歩行の理論的背景

脳卒中重度片麻痺患者様への、長下肢装具をもちいた歩行介助というものがある。

 

これは、どんなに麻痺で力が入らなくても、歩行練習を遂行できるというめちゃくちゃ強力なものだ。

 

適応としては、pusherがない、心臓を始めとする全身状態が落ち着いている、患者さんの拒否がないといったことくらいだろうか。

厳密にはpusherではやり方を変えるだけで、心臓系の問題が遷延化した場合には全身状態を見つつトライしたりもするが、ここでは置いておく。

 

基本的な概念は、以前記事にしたhebbの法則と、歩行の自動制御機構(central pattern generator:CPG)の2つがベースとなっている。

 

おさらいがてら、hebbの法則は、「運動意図と運動タイミングが一致すると、その運動の神経路が強化される」「神経路は行ったことしか学習しないため、代償運動の反復は代償運動を強化するだけに終わる。代償を避けた運動の反復では、代償からの脱却を図れる」というもの。

 

CPGは、簡単に言ってしまうと、脳や上位脊髄からの司令と関係なしに、腰髄に存在する反射中枢が刺激されると自動的に歩行が可能となる、というシステムのことだ。

このシステムは、「ある程度以上(体重の30%以上と言われている)の荷重が足にかけられた状態で」、「介助ででも股関節の屈曲⇔伸展の反復運動が起こると」、「自動的に足が出続ける」、というもの。

スマホを見たり、会話に夢中になりながらでも歩き続けられるのはこれが大きく作用している。

これは、あくまで歩いていればそこからは自動で足が出ますよ、というものなので、最初の一歩目や、方向転換など、随意的な司令が必要な動きには応用がきかない。また、あまりゆっくりの歩行だったり、リズムがバラバラだとCPGは中断され、発揮されにくい。

 

論文レベルだと、猫の死体を吊り下げてベルトコンベアの上に乗せてみたら歩けた、という趣味は悪いが現在の歩行介助の基礎となるものや、上位脊髄損傷患者への免荷式トレッドミルでの歩行、などの数多くのエビデンスからこれははっきりその存在が証明されている。

 

翻って、脳卒中片麻痺が重度な方がなぜ歩けないか。これを考えてみると、純粋な片麻痺が原因となるものは、膝折れ、体が倒れてしまう、足が引っかかる、足が出せないの4つに集約される。

セラピストとしては、体が倒れてしまうなら支えればいい。足が引っかかる、足が出せないなら引っかからないようにこちらの手で出してあげればいい。

しかし、これらを行いながら膝折れまで支えるのは難しい。そこで、長下肢装具で膝支えればいい、という考え方が出てくるわけだ。

 

膝は長下肢装具でロックし、ついでに足首もグネグネ曲がらないよう装具の中に入れておき、後方からセラピストが片手で患者への体を起こしておく。

非麻痺側下肢を患者さんが振り出す間、セラピストが麻痺側の股関節と体幹が倒れないよう支え、股関節を伸展方向に押して前進をサポートする。

 

この状態で、もう片手で長下肢装具の股関節の部分を持って振り出しを介助すると、股関節か、足部までが一体となった装具を着けているため、患者さんの麻痺側下肢の振り出しを介助できる。

 

この繰り返しで、重度片麻痺の患者さんにも、歩行練習が行えるというわけだ。

これは、hebbの法則に照らしても、動かそうと思ったタイミングで動けているし、代償も防ぐよう工夫すれば防げるしで麻痺の回復に有効と言える。

また、CPGの存在を考えても、歩きだしてリズムに乗れば、歩行様の下肢筋活動を誘発できる。そのため、麻痺して萎縮し易い麻痺側下肢筋群の強化も図れる。

更に、単純に立位で立脚側を左右に変えつつ前進する、ということから麻痺側、非麻痺側どちらもの動的立位バランスの向上が図れる。

加えて、歩行ということから全身的な心肺機能の改善まで図れてしまうという一石四鳥の最強運動療法だ。

 

ただ、実際に行おうとする際に、転倒リスクだったり、代償を起こしやすかったり、随意性が回復してきたのにロックしたまま歩かせて膝のコントロールを学習させられなかったりと失敗を経験するセラピストが多くいるのも事実だ。

 

実際の介助の際は、患者さんの状態に応じ手伝うポイント、手伝う量を調整し、その中で代償が起こらないよう工夫を重ねる必要がある。

この辺りの具体的な話は次回以降で書いていこうと思う。

コロナに罹患しました

こないだ親族に会ってから、翌日関節痛、発熱。職場を早退し調べたら抗原陽性。今週しばらく高熱と倦怠感に苦しめられています。

 

ここまでコロナに罹ったことなくきていて、なんとなく自分はかからないんじゃないかと思っていたがそれがいかに思い込みだったか、思い知った。

 

ようやく体調が回復していたので記事を書こうと思ったが、まあ書けない書けない。

とにかくまずはこういう記事でも書いていって慣らすところからかな。

 

隔離期間もまだあるし、ゆっくりやっていきます